名古屋市の30代女性より、詐欺被害のご相談をお受けしました。
錦3丁目の会員制クラブに勤めていたご依頼主様は、客として来ていた「会長」と呼ばれる老人にお金を貸したものの、お店のママから「○○は他のお客様にもお金を借りて返さないらしいから、資産調査をして返済の可能性があるのかだけでも調べたほうがいい」と言われ、私共の事務所へ資産調査の依頼におみえになりました。
弁護士へも相談されたそうですが「借用書を書かせてから相手を連れてきて」と言われ、借用書を頑ななまでに書こうとしない老人に為す術がありませんでした。
借用書も無く、立派な肩書きの名刺だけが手掛かりでした。
私共で老人の身元調査をしてみますと、名刺の会社は存在せず、住居も老朽化した賃貸アパートです。
乗用車も不動産もなく、資産らしきものが何もないとすれば、借金が返済される望みも非常に薄くなります。
ご依頼主様に調査結果を告げると本当に落胆してしまい、見る影もありませんでした。
大金を貸してしまっていたのです。
何とかならないものかと考え、老人と待ち合わせた喫茶店に代表が出向き、直接対決をしました。
老人はかなりの曲者で、外にボディガードのような者も待機させており、のらりくらりと話をはぐらかそうとします。
拇印さえ押そうとしない老人に借用書を書かせ、その場を後にしましたが、その後も約束の期日になると電話が掛かってきては、嘘の理由で返済期日を伸ばそうとします。
ある日、しょうもない嘘で再びごまかそうとする老人に堪忍袋の緒が切れ、老人が追い詰められるであろう切り札を出しました。
すると、翌日から嘘のように返済が始まり、半年ほど掛かりましたが借金全額が返済され、おまけに一年以上、ご依頼主様が我慢した分の利息まで付けることに成功しました。
言われるがまま、何度も銀行に出向いて振込を続け、相手が詐欺師だと分かった時には、三日三晩、水すら喉を通らなかったというご依頼主様でしたが、元気を取り戻し、笑顔で事務所を後にされました。
大抵は、相手に取れるものがなければ何ともなりませんが、あきらめてしまうこともありません。
その前に、決して人にお金を貸してはいけません。